訪問診療とは
訪問診療とは、「在宅での療養を行っているものであって通院が困難な方に対して、当該患者の同意を得て、計画的な医学管理の下に定期的に訪問し診療を行うものである。」と定義されています。この仕組みは、ご高齢やご病気などで病院への通院が困難な方でも、医療サービスが行き届くよう、国が定めた新しい診療スタイルです。①定期的・計画的な「訪問診療」と、②必要に応じて突発的に行う「往診」の二本立てを軸に遂行されます。
実際の流れをみてみましょう。
症例1
- ○月○日
- ○○病院 地域連携室 ○○さんより入電、紹介
患者:Aさん 90歳女性
貧血の精査にて紹介受診されていたが悪性●●腫と診断され短期入院を繰り返し化学療法を継続されていた。しかし徐々に薬が効果が出なくなり、継続困難になってきた。
今後はBSC(Best Supportive Care)の方針となり、ぶどうの木なべしまクリニックより訪問診療を希望されている。介護休暇をとって仕事と家庭をおいて母親のサポートをしていた長女の○○さんが一旦関東に戻られる為、その前に契約を希望。
すでに○○病院緩和ケア科を受診され、緩和ケア病棟入院予約をされている。
もし入院の必要であれば○○病院での入院受け入れは可能との事。
介護保険は要支援○。訪問看護や訪問介護の利用も希望されている。これは担当ケアマネに連絡済。
訪問看護も当院から紹介して欲しいとの事。
診療情報提供書はFAXして頂くよう依頼する。 - ○月○日
担当ケアマネ○○さんより連絡あり - 昨日、担当者会議を開催した。
すでに入院中に介護認定の再認定手続きを実施されており、まもなく要支援から要介護1-2程度の認定が降りる予定。退院後の介護サービス調整実施。
※火曜日・金曜日~○○の通所リハビリテーションを予定(リラクセーションと入浴目的)
※月曜日・木曜日・土曜日~ヘルパー(生活援助)
かかりつけ薬局は○○薬局○○店で訪問診療対応とのこと。
居宅療養管理指導料を算定される為昨日、薬局とは契約済み と連絡あり。
当院より訪問看護は○○に依頼している事を伝える。 - ○月○日
- 娘さんの○○さんが来院。今日、○○病院に受診した。腫瘍が2~3倍程に大きくなっていると言われた。年齢的に手術はできないと言われた。食欲はあるが以前の6割程しか摂取できていない。本人さんは難聴であり、本日の○○先生からの説明も理解されておらず治ったと思っておられる。今は娘さんが下剤の調整しているが娘さんが関東に帰られたら調整が心配との事。今後、腸閉塞や下血が懸念され、容態急変もあり得ると説明。
明日、通所サービスに行かれる前に初回往診を行う。
頻度はしばらくは週1回の訪問診療予定。その間訪問看護を週2回組み入れ、2日以上の空白ができないよう調整。 - まとめ
- 緊急連絡先
①長女の●●●さん ●●-●●●-●●●(関東在住) - ②二女の●●●さん ●●-●●●-●●●(関西在住)
初回訪問日:○月○日
訪問看護:○○訪問看護ステーション
薬局:○○薬局○○店
医療保険: 1割 標準負担額認定証:区分II
介護保険:要介護○ 担当ケアマネ:○○事業所○○さん
支払い:口座引き落とし(申請用紙お渡ししていますので訪問時回収を予定)
■訪問診療の対象となる方
●通院が困難な方(寝たきり、認知症、歩行困難など)
●退院後、自宅で医療管理が必要な方
●がん末期や慢性疾患、難病などで自宅療養をされている方
●自宅での看取りを希望されている方
●ご家族の介護負担を減らしつつ、医療支援を受けたい方
■ 訪問対応エリア
医療法では医療機関より半径16㎞以内であることとされていますが、現場までの移動時間を考えると、できるだけクリニックに近いエリアであることが理想です。
当院では佐賀市の北部を中心に訪問診療を行っております。
〜訪問診療をご希望の方へ〜
■訪問診療開始までのステップ
ステップ | 内容 |
---|---|
Step 1 | 主治医や介護保険のケアマネージャーにご相談ください。 または直接お電話またはお問い合わせフォームからご相談ください |
Step 2 | 担当スタッフが、ご状況をお伺いします |
Step 3 | ご家族やケアマネジャーと面談する日程調整を行います |
Step 4 | 申込書、契約書、診療費口座引落等のご案内 |
Step 5 | 初回訪問日を決定・訪問診療開始 |
■ご用意いただくもの
□健康保険資格証明書・マイナンバーカード
□介護保険証(お持ちの方)
□お薬手帳
□紹介状(ある場合)、これまでの医療情報:退院サマリーや採血データなど(お手持ちの場合)
■診療費のお支払について
訪問診療は保険診療です。厚生労働省の定めた全国一律のルールに則って診療費を請求いたします。うち定められた割合の自己負担分を直接請求いたします。
訪問診療はクリニックの受付会計窓口を介さず、診療が実施されていきます。診療費は月末締で翌月10日までに計算し保険者へ請求します。10日の期限までに計算した後に自己負担額が決定しましたら診療明細と請求額をお知らせいたします。お支払いは原則お手持ちの金融機関より口座引落をお願いしています。手続きが完了していない場合は振込をお願いしています。